遥人王国Vol.01「ギタープレーヤー 山木将平×SAPP‿RO」

プロモーションフィルム/5:50/2012

監督 山口洋介  Directed by Yosuke Yamaguchi
編集 奥山弘晃  Edited by Hiroaki Okuyama

 夏から秋にかけて、札幌の街中や食のイベントに出演するギタリスト・山木将平。札幌・北海道の空気で育った山木の一本のアコースティックギターが、都市に賑わいを生み出し、「市民を笑顔にする」。

山木将平プロフィール

 1989年10月3日生。13歳より独学でギターを弾く。現在、札幌を拠点に国内外でライブ・楽曲提供を中心に活動。2010年7月、 SAPPORO CITY JAZZ 2010パークジャズライブ・コンテスト優勝。2011年1月、1stアルバム「NORTH WIND」発表。2013年8月、3rdミニアルバム「Stand up for yourself」リリース。
[公式サイト] http://shoheiyamaki.com/

ライナーノーツ

「ノー・ボーダー」

工藤水生

 ギターは一本。腕は二本。しかしそこから生み出される音の数は無数だ。

 ファーストアルバムを初めて拝聴したとき、「これだけいろいろな種類の音を、いったいどうやって出しているのだろう」と思った。ライブを直接見ればわかるかもしれない、とも。
 だが考えが甘かった。実際にライブを見ても、そのパフォーマンスと自身が作曲したというメロディにただただ驚くばかりで、疑問はすっかり霧散し、「なんかすごい」という間の抜けた感想だけが残った。

 山木将平のギターには「力」がある。それはパワフルというだけの意味ではない。感涙にむせぶのも、郷愁にひたるのも、鼓舞や高揚をも含めた「聴いた人の感情を揺さぶる力」である。
 雄大な自然を前にしたとき、人種や国籍にかかわらず人は心打たれる。同じように山木将平のギターは、聴く者を引き込み旋律に耳を傾けさせ、心を打つ力強さがあるのだ。

 北海道には国内外から人が訪れる。
 だからだろうか、北海道の自然が生んだそのギターもまた、道内のみにとどまらず多種多様な人々を惹きつける。
 言葉のないインストゥルメンタルとギターの豊かな音色は、あらゆるボーダーを超えるだろう。そしてこれからも、人々を魅了しつづけるに違いない。

工藤水生プロフィール

作家。1989年3月生まれ。2011年、北海道大学文学部に在学中、小説「笑えよ」が「第6回ダ・ヴィンチ文学賞」で大賞を受賞。札幌市在住。

「時代が求める、知的な野生」

高樹祐介

 私の躰は、山木のギターに反応してしまう。それは、自動的であり、フィジカルな反射でもある。
ある時は、末っ子を送る朝の車内、FMラジオから流れる天気予報のイントロに。
ある時は、酔ってうたたねするソファーで、ハウスメーカーのテレビCMを耳にして。
そして、不意に、ぼんやりと「原風景」が浮かんでくる。私にとっては、小学3年生の夏、化石を掘りに行った裏山のでこぼこした斜面――。

 音楽が想い出のシーンを喚起する、とはよく言われる。その曲を聞くと、当時の切ない記憶が蘇る、そうした経験は、一定の年齢に達していれば誰にでもあるだろう。だが、山木の柔らかで聡明な現在形のメロディは、何のリンクもない、自身の深い芯を照らし出してくる。

 山木のギターは、外国人に受けがいいようだ。言葉に依らないインストということもあり、軽々と国境を超えるのは分かる。外国人は、山木のギターにどのように感応しているのだろうか。

 山木のギターが世界にどこまで彩りを与えることができるのか、見届けていきたい。それが、札幌・北海道発であることに、わくわくするし、自分をもっと深く知ることができるかもしれない、そうした密やかな期待もある。そして、ビッグデータの活用が叫ばれるこの時代にこそ、山木の一本のギターが奏でる「知的な野生」が求められているのだと思う。

高樹祐介プロフィール

サリポロのコミュニケーション・デザイナー。研究テーマは「非営利組織のマネジメント」。札幌市在住。

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